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理美容業でスタッフから残業代請求を受けたら|未払い残業代への対応と労務トラブルの防止策について弁護士が解説

美容室、理容室、ヘアサロン、ネイルサロン、アイラッシュサロンなどを経営する中で、スタッフから未払い残業代を請求されることがあります。

例えば、退職したスタッフから突然、弁護士名義の内容証明郵便が届き、過去数年分の残業代として数百万円を請求されるようなケースです。

経営者としては、

「営業時間中に仕事を終えていたはずだ」

「閉店後の練習は本人が自主的に行っていた」

「給与には残業代を含めていた」

「歩合給を十分に支払っている」

と考えることもあるでしょう。

しかし、会社がそのように認識していたからといって、法律上も残業代の支払義務がないとは限りません。

特に理美容業では、閉店後の技術練習、開店準備、清掃、ミーティング、歩合給など、労働時間や賃金の計算について問題になりやすい事情があります。

一方、スタッフから残業代を請求された場合でも、請求された金額がすべて正しいとは限りません。実際の労働時間や賃金の支払状況、計算方法などを精査する必要があります。

重要なのは、感情的に請求を拒否したり、請求額をそのまま認めたりするのではなく、客観的な資料と法律に基づいて対応することです。

杉山法律事務所では、理美容業界の実情を踏まえ、スタッフからの残業代請求への対応、交渉、労働審判・訴訟対応、労働時間管理や賃金制度の見直しをサポートしています。

理美容業で残業代請求を受けたときのよくあるお悩み

元スタッフから未払い残業代を請求する内容証明が届いた

退職したスタッフから突然、未払い残業代を請求する内容証明郵便が届くことがあります。

請求書には、過去の勤務時間をもとに計算した残業代や遅延損害金が記載され、一定期間内の支払いを求められることもあります。

経営者としては、退職後に突然多額の請求を受け、驚くこともあるでしょう。

しかし、請求されたからといって、直ちにその全額を支払う必要があるとは限りません。

まずは、請求対象期間、労働時間の算定根拠、賃金の計算方法、既払いの残業代などを確認する必要があります。

また、残業代請求権には消滅時効があり、現在、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金については、当分の間、原則として3年間とされています。

ただし、時効の完成やその援用の可否については、個別の事情を確認する必要があります。

内容証明が届いた場合には、回答期限や請求内容を確認し、早い段階で対応方針を検討することが重要です。

営業時間外の練習・講習・掃除が労働時間だと主張された

理美容業では、閉店後にカット練習やウィッグ練習を行ったり、技術講習やミーティングを実施したりすることがあります。

また、開店前の準備や閉店後の清掃、レジ締めなども日常的に行われています。

経営者としては、「営業時間外だから労働時間ではない」「練習は本人のために行っている」と考えるかもしれません。

しかし、法律上の労働時間は、営業時間内かどうかで決まるものではありません。

使用者の指揮命令下に置かれている時間かどうかが重要になります。

例えば、会社が練習への参加を義務づけていたり、参加しなければ不利益な評価を受けたりする場合には、労働時間に該当する可能性があります。

一方、スタッフが完全に自主的に練習しており、会社からの指示や参加の強制がない場合には、労働時間に該当しないこともあります。

具体的な運用実態を確認することが重要です。

「固定残業代」「歩合給に含む」と説明していたのに認められなかった

理美容業では、固定残業代や歩合給を導入している店舗も多くあります。

例えば、「月給30万円には残業代を含む」「売上に応じて歩合給を支払っているので、別途残業代は発生しない」と説明しているケースです。

しかし、固定残業代を支払っているというだけで、すべての残業代の支払義務がなくなるわけではありません。

通常の賃金部分と割増賃金部分が適切に区別できるか、法定の割増賃金に不足がないかなどを確認する必要があります。

また、歩合給を支払っている場合でも、時間外労働等に対する割増賃金の支払義務がなくなるわけではありません。

賃金制度の名称ではなく、契約内容や実際の計算・支払方法が重要になります。

タイムカードがなく、労働時間を証明できない

小規模な理美容室では、タイムカードなどによる勤怠管理が十分に行われていないケースがあります。

また、タイムカードがあっても、閉店後の練習時間や清掃時間が記録されていないこともあります。

このような場合、スタッフから残業代を請求されても、実際に何時間働いていたのかを確認することが難しくなります。

労働時間の認定では、タイムカード以外にも、予約履歴、POSレジの操作記録、業務日報、LINEのやり取り、店舗への入退館記録などが資料となる場合があります。

会社には労働時間を適切に把握する責務があるため、勤怠管理が不十分なことは、紛争対応上の大きなリスクとなります。

理美容業で残業代トラブルが起こりやすい理由

閉店後のカット練習やウィッグ練習が労働時間か曖昧になりやすい

理美容業では、技術力の向上がスタッフの成長や店舗の売上に直結します。

そのため、営業終了後にカット練習やウィッグ練習を行うことが珍しくありません。

ここで問題となるのが、練習時間が労働時間に該当するかどうかです。

例えば、店長が練習日を指定して参加を求めている場合や、技術試験への合格が昇格・入客の条件とされ、実質的に参加を余儀なくされている場合などには、労働時間に該当する可能性があります。

一方、スタッフが自ら希望し、会社からの指示や参加の強制もなく練習している場合には、労働時間に該当しないこともあります。

重要なのは、「自主練習」という名称ではなく、実際に会社の指揮命令下にあったかどうかです。

練習時間の取扱いについて、店舗として明確なルールを設けることが重要です。

歩合給・固定残業代の設計が法的要件を満たしていないことがある

理美容業では、指名売上や店販売上に応じた歩合給を導入している店舗が多くあります。

しかし、歩合給を支払っているからといって、残業代を支払わなくてよいわけではありません。

歩合給については、通常、歩合給の算定期間における総労働時間をもとに時間当たりの賃金額を算出し、時間外労働等に対する割増賃金を計算する必要があります。

また、固定残業代制度についても、通常の賃金と割増賃金を区別できることなどが重要です。

固定残業代として支払った金額が、法定の計算による割増賃金額に不足する場合には、差額を支払う必要があります。

「基本給に残業代を含む」と口頭で説明していたとしても、契約内容や給与明細、実際の支払方法によっては、残業代の支払いとして認められない可能性があります。

休憩が取れていても、実際は予約対応や待機で労働時間とみなされやすい

理美容室では、予約の空き時間を休憩時間として扱っているケースがあります。

しかし、予約が入ればすぐに対応しなければならない場合や、電話対応、受付、清掃などを行っている場合には、労働から解放されているとはいえない可能性があります。

労働基準法上の休憩時間は、労働者が労働から離れることを保障されている時間である必要があります。

そのため、実際には業務対応を求められる待機時間を、一律に休憩時間として控除することには注意が必要です。

休憩時間を確保できているか、スタッフが自由に利用できているかを確認することが重要です。

残業代請求を放置する/自社で対応するリスク

遅延損害金や付加金が加算され請求額が膨らむ

未払い残業代を放置すると、元本だけでなく、遅延損害金などが問題になることがあります。

また、一定の未払い割増賃金について訴訟となった場合、裁判所が労働基準法114条に基づく付加金の支払いを命じる可能性もあります。

付加金は、残業代の請求を受けただけで当然に発生するものではありませんが、訴訟上のリスクとして考慮する必要があります。

退職後の未払い賃金については、賃金の支払の確保等に関する法律に基づく年14.6%の遅延利息が問題となる場合もあります。

請求を放置することで、解決に必要な負担が大きくなる可能性があります。

労働審判や訴訟に発展し対応の負担が大きくなる

スタッフからの請求に適切に対応しない場合、労働審判や訴訟に発展することがあります。

労働審判では、原則として3回以内の期日で審理を終えることが予定されているため、短期間で資料を整理し、主張を準備する必要があります。

また、訴訟となれば、経営者自身が資料の確認や弁護士との打合せなどに多くの時間を費やすことになります。

店舗経営に集中するためにも、早い段階で請求内容を精査し、対応方針を決めることが重要です。

在籍中のスタッフにも請求が広がる

残業代トラブルは、請求したスタッフ一人だけの問題で終わらないことがあります。

例えば、会社全体で同じ固定残業代制度を採用していた場合や、閉店後の練習時間を一律に労働時間として扱っていなかった場合です。

一人のスタッフからの請求をきっかけに、他のスタッフからも同様の請求を受ける可能性があります。

そのため、個別の請求への対応だけでなく、店舗全体の労働時間管理や賃金制度を見直すことが重要です。

残業代請求への対応を弁護士に相談するメリット

請求額を法的に精査し、適正な金額に抑えられる

スタッフから残業代を請求された場合、まずは請求額が法律に基づいて正しく計算されているかを確認する必要があります。

例えば、労働時間として計上されている時間の中に、会社の指揮命令下にない時間が含まれていないか、休憩時間が適切に考慮されているか、既払いの割増賃金が反映されているかなどを確認します。

また、歩合給や固定残業代の取扱い、消滅時効なども検討事項になります。

弁護士に相談することで、請求額の根拠を精査し、法律上支払う必要のある金額を整理できます。

ただし、弁護士に相談すれば必ず請求額を減額できるというわけではありません。

重要なのは、過大な請求には適切に反論し、支払義務がある部分については法的に妥当な解決を目指すことです。

元スタッフとの交渉・労働審判を代理してもらえる

元スタッフから残業代請求を受けた場合、経営者自身が交渉すると、過去の人間関係などから感情的な対立が生じることがあります。

また、相手方に弁護士がついている場合には、法的な主張や資料の整理が必要になります。

弁護士が代理人として対応することで、請求内容の確認、反論書面の作成、和解交渉、労働審判・訴訟対応などを進めることができます。

再発を防ぐ労働時間管理・賃金体系を整備できる

残業代請求への対応では、目の前の紛争を解決するだけでなく、同じ問題が繰り返されないようにすることも重要です。

例えば、閉店後の練習時間の取扱い、勤怠管理方法、固定残業代制度、歩合給の計算方法などを見直す必要があります。

理美容業の実態に合った制度を整備することで、将来の残業代トラブルの予防につなげることができます。

当事務所のサポート内容

残業代請求の初期対応・交渉代理・労働審判対応

杉山法律事務所では、スタッフや元スタッフから残業代請求を受けた場合、請求内容の確認、証拠資料の整理、未払い残業代の試算、対応方針の検討を行います。

また、相手方との交渉や和解書の作成、労働審判・訴訟への対応についても、会社の代理人としてサポートします。

固定残業代・歩合給など賃金制度の見直し

理美容業で採用されることの多い固定残業代や歩合給について、雇用契約書、就業規則、賃金規程、給与明細などを確認し、法的な問題がないか検討します。

また、閉店後の練習、開店準備、清掃、ミーティングなどの労働時間の取扱いについても、店舗の実情を踏まえて見直しをサポートします。

顧問契約による継続的な労務サポート

労務トラブルは、問題が発生してから対応するよりも、日頃から予防することが重要です。

杉山法律事務所では、顧問契約を通じて、雇用契約書や就業規則の整備、労働時間管理、賃金制度の見直し、問題スタッフへの対応など、継続的な労務サポートを行っています。

残業代請求で重要なのは、請求された金額をそのまま認めることでも、頭ごなしに拒否することでもありません。

まずは、実際の労働時間や賃金の支払状況を確認し、法律上どのような支払義務があるのかを整理することが重要です。

理美容業では、技術練習や歩合給など、業界特有の事情が残業代トラブルにつながることがあります。

杉山法律事務所では、理美容業界での経営経験を踏まえ、法律上の問題だけでなく、店舗運営の実態も理解したうえで解決策を検討します。

「元スタッフから突然、未払い残業代を請求された」

「閉店後の練習時間について残業代を請求されている」

「固定残業代や歩合給の制度に問題がないか確認したい」

「タイムカードがなく、労働時間を把握できていない」

「今後、同じような残業代トラブルが起きないようにしたい」

このようなお悩みをお持ちの理美容室・サロンの経営者様は、杉山法律事務所へご相談ください。

残業代請求への対応から、賃金制度・労働時間管理の見直し、将来の紛争予防まで、店舗の実情に即してサポートいたします。

 

この記事を書いた執筆者
杉山 成榮
杉山法律事務所
代表弁護士
杉山 成榮
私は、「理美容サロンを経営する個人事業主、経営者を支える法律事務所をつくりたい」という想いから、杉山法律事務所を開設しました。

私自身、理美容サロンの経営に 10 年以上従事してきました。そのため、理美容サロン経営者が日々どのような悩みを抱え、どのような意思決定を迫られているのかを、机上の知識ではなく実体験として理解しています。

また、私は理美容サロン経営の他、約 10 年間にわたり組織人事コンサルティングにも従事し、多くの企業の採用や人材育成、組織づくりを支援してきました。
理美容サロン経営において人材採用、人材育成、組織づくりといった「人に関する戦略」は、経営の根幹を支える最も重要な要素であると私は考えています。そして、人材が活躍できる組織をつくるためには、経営と法律の両方の視点が必要になります。

当事務所が目指しているのは、単なる法律問題の解決ではありません。経営者の想いや事業の方向性を理解したうえで、共に考え、共に悩み、事業の発展を支えるパートナーであることです。
理美容業界を熟知している弁護士として、経営者の皆様が安心して挑戦を続けられるよう、全力でサポートしてまいります。

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